リテールプランニングの明暗を左右する予測・割当・補充
即座に対応する力が小売企業の原動力になっています。消費者は商品を今すぐ手に入れたいと考えているのです。
しかし、それ以上に重要なのがサスティナビリティです。
消費者はこれまで以上に、商品がどこから来たのか、自分の選択が環境にどのような影響を与えているのかを知りたいと考えています。
消費者の信頼を獲得し、競合他社に差をつけるためには、次のことが重要です。
- 店頭、オンライン、フランチャイズ、卸売など、あらゆるチャネルで商品を用意する
- 商品の環境負荷や廃棄物をできる限り削減する
しかし、商品を常時購入できるようにすることと、サスティナビリティとのバランスを取ることは、そう簡単ではありません。
そこで重要になるのが、予測・割当・補充といった下流工程のプランニングです。これらの要素で、在庫を適正化する流れを構築して、販売未達や過剰在庫の発生、値下げや廃棄による損失といった、利益とサスティナビリティに関わる落とし穴を回避することができます。
しかし、これは最大手の小売企業にとっても大きく難しい課題です。この記事では、その解決方法をご紹介します。
予測・割当・補充とは何か?なぜ重要なのか?
プランニングでは、時には積極的に、またある時は消極的であることが求められますが、プロセスのどの段階にいるのかによって、どちらも重要になります。在庫切れを起こさないように正確な計画を立てるために、積極的に対応する必要があります。
しかし、予測・割当・補充に関しては、消極的になるほうが得策です。少しずつ、そして頻繁に割り当てることができれば、コントロールできない外的要因にも、よりアジャイルに柔軟に対応することができます。
店頭で品切れを起こすと、消費者は落胆し販売機会も失われます。また、せっかくリピーターがいても、再入荷を待てない消費者は競合他社に流れてしまうことになります。
補充とは、消費者の需要に見合った商品を在庫から補充するために積極的に予測して対応することであり、店舗補充とベンダー補充の2種類があります。
割当とは、過去のデータに基づいて、各チャネルに個々の商品の数量を割り当てる緻密なプロセスのことです。顧客のニーズに合わせて、適切な種類の商品を用意します。
小売企業における正確な予測とは、絶対にミスがないことを意味しており、あらゆるチャネルでより多くの在庫を定価で販売できるようにするために、顧客が最も望んでいるサイズやデザイン、コレクションを特定し、最も売れるチャネルに割り当てます。予測とは、前シーズンの売れ行きを把握し、ベストセラーと不振な商品を特定して、次のシーズンに向けて何をどれだけ生産・購入するかを調整することです。
割当と補充の課題
各チャネルの全商品について、最適な在庫の時期や数量を判断するのは簡単なことではありません。プランナーが頼りにしているのは、綿密なデータに基づいた精度の高い分析です。
商品・場所・時期・チャネルが決まれば、在庫の割当は簡単なように思えます。
しかし実際にはそれぞれのカテゴリーにいくつもの層があり、かなり複雑です。各データがいかに複雑なものかを見てみましょう。
- 商品:売り切れや売れ残り防止のため、各 SKU を適切な部門やチャネルに配置する必要があります。問題は、何千ものSKUを、部門やチャネルに合わせて異なる数量で割当なければならないことです。
- 場所:地域・部門・チャネルによって、各店舗で新しい在庫を受け入れられる量が異なります。在庫量は、各店舗がすでに持っている商品と、現在または今後のプロモーションに基づいて調整する必要があります。
- 時期:販売を効率的に促進するためには、年間を通じて適切なタイミングで商品を店頭に届ける必要があります。つまり、サプライヤーからメーカー、梱包、配送に至るまで、すべてのチェックポイントで、シーズン中に一つ以上の締切りが発生します。
- チャネル:チャネルの計画を立てない企業にとっては、eコマース・フランチャイズ・卸売に割り当てた在庫を、店舗から要求される可能性があり、頭の痛い問題です。
予測によって、プランナーは季節商品から定番商品まで、あらゆる商品について理想的な補充スケジュールを導き出します。しかし、理想的な時間軸を計画するためには、バランスをとる必要があり、以下を考慮しなくてはなりません。
- あらゆる店舗の現在の在庫状況。プロモーションや入荷待ちの商品など
- 補充が必要な定番商品
在庫数が減少していく商品を適切なタイミングで補充するためには、綿密な計画を立て、変化する状況をコンスタントに見守らなくてはなりません。このような複雑な作業を、MDがExcelシートを使って手作業で行うのは、非現実的です。
AIを使ったプランニングソリューションの効果
何千もの商品、何十もの拠点、その他無数の詳細情報がある中で、最適な商品在庫を手作業で予測・割当・補充することは不可能です。商品を正確に配置するためには、在庫やチャネルの小さな変化をきめ細やかなレベルで考慮する必要があります。
Centricプランニングのようなリテールプランニングソリューションを使えば、プランニングの上流と下流の両方をカバーできます。ハイレベルに状況を可視化して、データ分析や自動化を行うことで、予測・割当・補充という手のかかる作業をサポートします。
Centricプランニングの拡張知能は、各チャネルの過去の販売データに基づいて、各商品の販売予測を行います。つまり、定価で販売できる確率の高い場所に、商品を優先的に割当てることができるのです。
これにより次のことが実現できます:
- 追加注文の販売予測を立てることで、予測の精度を向上
- 廃棄物や過剰生産の削減により、サスティナビリティを推進
さらに、この予測モデルは類似した商品の発注によってより精緻化されるので、時間の経過とともに高度な流通計画を立てることが可能になります。
プランニングソリューションを使えば、店舗間の商品割当を最適化するために必要な時間や費用、リソースを最小限に抑えることができます。 需要動向のパターン、手持ちの在庫、スペース、現在のイベントなどのデータを使って、各店舗の適切な割当を計算し、店舗やチャネルごとにSKUを最適化します。
自動化を統合することで、プランナーは(事後対応ではなく)先を見越して商品を割当てることが可能になり、以下のような問題をなくすことができます:
- 想定外の緊急配送に対応するための、割高な宅配便の利用
- 店舗スタッフによる在庫移管時の梱包・開梱作業
- 在庫の移動にスタッフが時間をとられることで、顧客サービスレベルが低下
- 欲しい商品が見つからないことで、ロイヤルカスタマーの顧客満足度が低下
商品を消費者の期待する場所にうまく割当て、配置できるようになれば、店舗間の移動を削減できて、環境への負荷も軽減できます。大規模な小売企業であれば、この小さな削減がすぐに大きな効果を生むことになります。
精度の高い予測ができれば、過剰生産や無駄、生産に必要な資源も削減できます。
企業がプランニングソリューションに投資する目的は、何よりもまず、シーズン終わりの余剰在庫を減らし、より多くの商品を定価で販売することですが、それに付随してサスティナビリティに対応できることも企業にとっては魅力的で重要な要素であり、既に実施している他のサスティナビリティの取組みに追加することが期待できます。
まとめ
プランニング・購買・調達といった上流工程と、割当や補充といった下流工程を連動させることは非常に稀です。しかしCentricプランニングのように、同じ戦略やエンジン、ロジックを使ったシステムを活用することで、各部門が完全に連携して、足並みをそろえることが可能になります。
過去のデータから学習して予測を立てることで、在庫を最適化して販売を最大化しましょう。 Centric Software®に投資すれば、すべての在庫を一元管理して、在庫の割当と補充をきめ細かに行い、アジャイルに対応することが可能になります。