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PPM分析とは?戦略的に事業を
成長させるためのフレームワーク

ビジネスの規模や業種を問わず、市場のニーズに合った製品を見極め収益性と販売効率を最大化することが、競争力を維持する鍵となります。

そのために有効な手法が、PPM分析(製品ポートフォリオ管理分析)です。PPM分析を活用し、品揃えや販売戦略を見直すことで、販売パフォーマンスを向上させることができます。

本記事では、PPM分析の基本や実施手順、そしてその効果を最大限に引き出す方法を分かりやすく解説します。

PPM分析とは?

初めに、PPM(Product Portfolio Management/製品ポートフォリオ管理)とは、企業が扱う製品やサービス全体を戦略的に管理する手法です。

そして「製品ポートフォリオ」とは、自社が提供する製品ラインナップを指し、単一製品から複数カテゴリにまたがるケースまで様々です。例えば、Apple Inc.(アップル)では、製品ポートフォリオを「製品ライン」ごとに分類しています。iPhoneシリーズでは、iPhone 16、16 Plus、16 Proなど、価格帯や機能の異なる複数のモデルを展開し、消費者の多様なニーズに応えています。

製品ポートフォリオの例:Apple

PPM分析では、この製品ポートフォリオを「市場成長率」や「市場占有率」「売上」「競合状況」などのデータに基づいて評価し、それぞれの製品が市場にどれだけ適しているか、どの程度の競争力を持っているかを分析します。これにより、「どの製品に優先的にリソースを投資すべきか」「見直しや撤退を検討すべき製品はどれか」といった判断を、感覚ではなく客観的なデータに基づいて行うことができます。

PPM分析のやり方

PPM分析は、一般的にBCGマトリクス (Boston Consulting Group Matrix) を使用します。これはボストン・コンサルティング・グループが開発したフレームワークで、「市場成長率」「市場占有率」の2つを軸に、製品や事業を「花形」「金のなる木」「問題児」「負け犬」の4つに分類したものです。以下に、BCGマトリクスを使ったPPM分析のやり方を順を追って解説します。

1) 4つの区分の意味

1. 花形

花形は、市場成長率も市場占有率も高い、企業にとって戦略の中心となる重要な製品や事業です。競争が激しい市場でありながら、高いシェアを確保しており、今後の成長をけん引する存在といえます。さらなる市場拡大を目指して、積極的な投資が求められます。

▶ 成長性・収益性ともに高く投資価値が大きい

BCGマトリクス:花形

2. 金のなる木(Cash Cow)

金のなる木は、市場は成熟しているものの、高いシェアを維持している製品や事業です。成長率こそ低いものの、安定した利益を生み出し続ける、企業の財務を支える重要な存在です。大きな追加投資を必要とせずに、収益は「花形」や「問題児」など、将来性のある事業への投資資金として活用されます。

▶ 投資効率が高く企業の財務基盤を支える

BCGマトリクス:金のなる木

3. 問題児 (Question Marks)

問題児は、将来性はあるものの、今はシェアが低く不安定な製品や事業です。投資をすれば「花形」に育つ可能性もありますが、結果が出るまでにリスクを伴います。継続的に投資すべきか、それとも撤退すべきかを見極める必要がある投資判断が難しい事業です。

▶ 育てるか引くかの選択が求められる

 

BCGマトリクス:問題児

4. 負け犬 (Dog)

負け犬は、市場成長率も市場占有率も低い停滞事業です。これらの製品や事業は維持していてもコストがかかるばかりで大きなリターンは期待できないため、事業の再構築や撤退、あるいは他事業との統合など早急な見直しが必要です。

▶ 再構築や撤退など早急な見直しが必要

BDGマトリクス:負け犬

2) 2つの軸の算出方法

1. 市場成長率

市場成長率 = (今年度の市場規模 – 前年度の市場規模) ÷ 昨年度の市場規模 × 100

例:
今年度の市場規模:100億円
前年度の市場規模:80億円
市場成長率 = (100億円 – 80億円) ÷ 80億円 × 100 = 25

※ 市場規模は、政府統計、業界団体、市場調査会社のデータなどから取得可能です。

2. 市場占有率

市場占有率(シェア)= 自社製品の売上高 ÷ 対象市場全体の売上高 × 100

例:
自社製品の売上:300万円
対象市場全体の売上:2,000万円
市場占有率 = 300万円 ÷ 2,000万円 × 100 = 15%

BCGマトリクス:市場成長率と市場占有率

3) 自社製品のマッピング

  1. 自社製品を配置
    各製品をBCGマトリクスに配置します。売上規模に応じて円の大きさを変えると、製品ポートフォリオ全体のバランスが視覚的にわかりやすくなります。
  2. 各製品を分析
    製品をマッピングした後は、次のような問いを通じて分析を行い、導入・見直し・廃止などの判断に役立てます。製品ポートフォリオを最適に管理するための指針となります。
  • 最も利益率の高い製品はどれか
  • 成功している製品を他市場向けにリブランディングできるか
  • 不足している製品ラインを補う新製品は必要か
  • 製品ごとの最適な価格はどれくらいか
  • 季節や地域に応じてどう製品を適応させるか
  • 各地域の規制に製品は対応しているか
  • 製品の特長や品質に関する訴求内容は最新か
BCGマトリクス:自社製品のマッピング

4) 競合他社との比較

  1. 競合製品を配置
    比較したい自社製品のBCGマトリクスに、競合企業の製品を配置することで、競合他社との客観的な比較が可能になります。
    競合の売上データは、上場企業であれば有価証券報告書などの公開資料から取得でき、中小企業の場合はウェブサイトや求人情報などから取得できます。
    競合比較を通じて、自社の市場における立ち位置や、製品の強み・弱みを客観的に把握でき、差別化のポイントや改善すべき点を明確にすることが可能です。
  2. 戦略への反映
    競合他社との比較から得られた洞察を活かし、次のような戦略を検討できます。
  • 差別化ポイントを明確にし製品やサービスを強化
  • 自社の立ち位置を再確認し優位性を活かす
  • 激戦領域ではリソース配分や製品の見直しを検討
BCGマトリクス:競合他社との比較

PPM分析のメリットとデメリット

メリット

  • 事業全体の俯瞰ができる
    全ての製品や事業を「市場成長率」と「市場占有率」で分類することで、製品ポートフォリオのバランスや注力すべき製品を視覚的に把握できます。
  • 成長戦略に役立つ
    高成長市場でシェアを伸ばすべき「問題児」や、安定収益を生む「金のなる木」など、製品ごとに成長シナリオを考えることができます。
  • 収益性の向上が期待できる
    「負け犬」のような低収益事業を見直すことで、全体の利益構造を改善する判断材料となります。

デメリット

  • 製品ごとの分析に留まる
    各製品を個別に評価するため製品間のシナジー効果は考慮されず、全体最適ではなく部分最適な判断に陥るリスクがあります。
  • 既存製品の評価に限られる
    市場が未形成な新規事業については、「市場成長率」と「市場占有率」の数値が明確でなく、PPM分析では正確な評価が困難です。将来性のある分野にも柔軟な視点が求められます。

PPM分析を最適化するシステム

限られたリソースを、どの製品へ優先的に投資すべきかを見極めることは、企業にとって重要な経営判断の一つです。このような判断を支えるのがPPM分析です。しかし、PPM分析を効果的に行うためには、製品開発から販売に至るまでの情報を一元化し、可視化する仕組みが必要です。そのために最適なシステムが、PLM(製品ライフサイクル管理)システムです。

数あるPLMの中でも、業界トップシェアを誇るCentric PLM™は、製品ごとの収益性や成長への貢献度を可視化するレポート・分析機能を備えており、高収益製品の特定や新製品の成功率向上、製品ラインナップの重複防止に貢献します。
さらに、季節イベントに合わせたパッケージ変更や、アレルゲンフリー・糖質オフといった健康志向製品への迅速な対応も可能です。

また、部門や国を越えたリアルタイムの情報共有により、業務の効率化・精度・スピードを高めるとともに、サプライヤーとの連携を強化し、グローバル市場でのローカル対応力向上にも貢献します。

まとめ

PPM分析は、限られたリソースをどの製品に投資すべきかを判断する重要な手法です。この分析を最大限に活用するためには、PLMによる製品情報の一元管理が不可欠です。Centric PLM™は、製品データをリアルタイムで可視化し、部門間に迅速に共有することで、PPM分析の精度向上と効率的なリソース配分を実現します。これにより、製品ポートフォリオを最適化し、競争力を強化できます。ぜひ無料デモでその機能をお試しください。