化粧品向け新商品開発
ソフトウェア
化粧品の開発プロセスには、調達の遅れや予期せぬ成分上のコンプライアンス課題など、化粧品やパーソナルケア用品の小売企業、ブランド、メーカーにとっての大きな課題が存在し、プロダクトチームは振り出しに戻されることになりかねません。
このような課題は、通常、社内チームと社外のサプライヤーやパートナー企業との間の可視性と透明性の欠如によって生じます。商品は、ブランドマーケティングに連動し、トレンドが廃れる前に流れに乗り、すべての販売地域に完全に適合し、消費者にとって適切な価格帯で健全な利益率を確保するために最適な価格設定となる必要があります。多彩なチームが同じ商品に取り組み、それぞれが異なる目標を掲げている以上、すべてを時間内にまとめることは容易ではないでしょう。
多くの化粧品・パーソナルケア用品企業が、製品ライフサイクル管理(PLM)ソリューションを導入し、複数のチームが、商品および市場投入に関連するデータのリアルタイムな「統合された一つの情報源」を基盤としています
化粧品開発ソフトウェアで商品開発期間を短縮する方法
化粧品・パーソナルケア用品業界は、ここ数年で劇的に変化しています。オンライン購入の当日または翌日配送は「ニューノーマル」であり、トレンドは瞬く間に変化し、マーケットにおける位置づけはソーシャルメディアのインフルエンサーによって影響されるようになりました。さらに、業界を破壊するようなオンライン直販ブランドが増え続ける中、化粧品やパーソナルケア用品の消費者は、歩調を合わせない企業を避け、ボタン1つで最新かつ最高のトレンドを提供する企業を選択するインターナショナルな購買力を持っているのです。
PLMは、新商品開発および新商品導入の停滞を克服するために、どのように役立つのでしょうか?
チームがサイロ形式でバラバラに仕事をすると、商品開発はうまくいきません。例えば、マーケティングとアイデアチームが独自の商品コンセプトを考え出したとしても、配合チームに概要を送るまで、ある主要成分がターゲット市場でブラックリストに載っていることを認識していない場合、全員の時間とリソースを無駄にすることになります。配合チームから問い合わせを受けた段階で、すぐにそのプロセスをやり直さなければなりません。
Centric PLMのような化粧品向け商品開発ソフトウェアでは、すべてのチームが集約されたデジタル基盤で連携し、業務や情報を共有することで、このようなミスは即座に拾い上げられます。配合チームは、商品のアイデア出しをリアルタイムで見ることができますし、その逆も可能です。ユーザーは潜在的な課題にフラグを立て、課題解決と意思決定に向けて共同で業務を進めることができます。パートナー企業が PLM データにアクセスすることで、商品やパッケージの仕様の共有と配布を簡素化、効率化し、開発中の商品の進捗を容易に把握できるようになり、管理と透明性が向上して遅延やミスを最小限に抑えることが可能です。
商品の調合、コンプライアンス、ポートフォリオをスプレッドシートや孤立したシステムで管理することは混乱のもとです。配合管理は特に、調合が増殖し、地域や対象となる顧客層分布毎に多くの分岐があり、いくつものバージョン管理上でエラーが起こりやすい傾向にあります。メイクアップコスメはその典型的な例で、地域市場毎に複数のカラーパレットが存在します。
PLM は、このような複雑な商品関連情報のすべてを、容易なアクセス、視覚的に、最新のものとしてすぐに対応可能な形式で保存、トラッキングし、更新することを可能にします。オープンプラットフォームの化粧品向け PLM ソリューションは、他の連携するエンタープライズシステムからデータを取り込み、開発中の商品の全体像を構築します。PLM は、マーケティング、研究開発、パッケージ開発、薬事、品質部門間の透明性の高いデータの流れをセットアップし、特定のターゲット市場に向けて商品を最適化します。
企業は、業界に影響を与えるファストファッションの競争に遅れないよう、常に新しいコスメティクス開発と商品化のリードタイムを短縮する必要があります。さらに、eコマースやソーシャルメディアの出現と隆盛により、化粧品・パーソナルケア用品へのアクセスがグローバルレベルに拡大し、同分野でも消費者の好みや期待が変化しています。
他のコンシューマグッズ業界と同様、化粧品・パーソナルケア用品企業はサプライチェーンの混乱に見舞われています。競合よりも早く商品を市場に投入することが、最初に適切な商品を開発することと同じくらい重要である場合、ボトルネックは商品販売が成功するか失敗するかの分かれ目を意味することになります。
PLM はコラボレーションを効率化し、クリエイティブな商品の概要に適合した調合を開発し、できるだけ早く開発に着手できるよう、チームを支援します。バリューチェーン全体を見渡せる複数のチームからのリアルタイムの情報に基づいて商品開発計画を立てることで、将来起こりうる課題を容易に把握し、先を見越した決定を下し、スケジュールを調整して期限内に市場へ投入する商品化を実現します。
PLM は、化粧品・パーソナルケアブランド、小売企業、メーカーの新商品開発プロセスの変革を推進します。エキサイティングな商品コンセプトから、地域ごとに適切な複数の調合の開発、オムニチャネル流通の調整まで、PLM はチームをひとつにまとめて、各マーケットに最適な商品を開発し、ターゲットとなる顧客の手元に期限通りに商品を届けることを可能にします。
ファストビューティーという新しい文化そして産業のグローバル化が、化粧品の新商品開発に与える影響とは?
化粧品・パーソナルケア用品企業は、将来的な事業展開を視野に入れた取り組みを行っています。顧客ニーズを中核とした高品質な規制に準拠した新商品の迅速な開発、複雑な製品ポートフォリオ管理、利益率の改善、配合管理、サプライヤー協業そして完璧なパッケージとラベルの保証が必要とされています。
迅速、高品質、高い費用対効果、トレンドの把握など、これらは適切なデジタルツールやワークフローの効率化なしに達成するのは難しい目標です。このため、化粧品業界の商品開発では、デジタル変革が成功の鍵となるのです。化粧品開発ソフトウェアは、新商品開発のツールキットに必要不可欠です。
PLMは、設計や製造工程における複雑さ、グローバル化、商品の迅速な開発・移動の必要性に直面する企業にとって、強力なソリューションです。 Centric PLMは、調合済み、非調合の商品を同時に商品化することや、迅速なイノベーションを可能にします。統合された一つの情報基盤を提供するアプローチにより、イノベーションとコラボレーションを実現し、タイムラインを短縮し、企業によるより顧客を中核とした対応を推進します。Centric PLMは、商品チームと研究開発チームがどこからでもひとつのプラットフォーム上で連携し、リアルタイムに協業することを可能にします。クリエイティブなアイデア、意思決定、コラボレーション、革新的な新製品開発を迅速に行い、安全性、品質、コンプライアンス対応、持続可能性への期待に応え、トレンドを生み出す商品をすばやく開発することを強力に支援します。
ここでは、新商品開発の主要なステージを紹介し、プロセスの各段階でどのようにPLMがソフトウェア基盤として機能するかを見ていきましょう。
調合開発
Centric PLMは、商品開発担当が商品概要の作成、配合およびリスク評価を管理し、サプライヤーに詳細な仕様を提供することで、プロセス全体を加速させることを可能にします。配合禁止成分や原材料の原産地はCentric PLMで管理され、地域毎の要件を満たすことができます。
例えば、マーケティングチームから新たなトレンドに関する情報を入手し、それをもとに動き出したい場合、PLMによってそのプロセスを推進していくことができます。Centric PLMのオープンなAPI(Application Programming Interface)は、原材料や化粧品のラベリングを行う外部の商品配合ソフトウェアと連携し、正確さと法令遵守を保つためにINCI名、CAS番号、化学物質、機能、規制などの成分特徴にアクセスすることが可能です。商品概要は、法務および品質管理チームによる検証のために、ラベル表示を含むように迅速に更新することができます。
Centric PLMのライブラリ、テンプレート、外部データベースとの連携により、商品概要の開発時間を大幅に短縮できます。新商品開発の公式開発ステップで節約できる時間は、効率やコスト削減、商品化のリードタイムを短縮することにつながります。
パッケージラベルとアートワークの管理
パッケージラベルとアートワークの管理は、複数の関係者が関わる複雑なプロセスであり、完璧に実行されなければ、新商品の開発プロセスを遅らせることにもなりかねません。パッケージとアートワークの管理は、Centric PLMに完全に統合されています。ワークフロー機能、ライブラリ、可視化された承認プロセスにより、商品開発ライフサイクルの重要なステージにおいて、市場投入までの時間を短縮することができます。
PLMには最新の商品情報が自動入力されるテンプレートが用意されており、ユーザーは外部機関向けの概要を即座に作成することができます。Centric PLMのサプライヤーポータルは、新商品開発プロセスの効率を高め、サプライヤーによる複数の商品やパッケージ概要管理の効率性を劇的に向上します。
Centric PLMのライブラリには、成分や容量、製造情報、画像、原産国などの仕様書用にプレースホルダーを持つアートワークテンプレートがあり、仕様書が自動的に生成されます。Centric PLMではラベル用に地域別のフォーマットが生成され、パッケージデザイナーやエンジニアは、Centric Adobe® Connectや3D PLMコネクターを活用し、ネイティブのAdobe Illustrator環境で作業をしながらPLMライブラリを容易に利用し、アートワークをPLMとシームレスに連携させることが可能です。
リアルタイムデータとワークフロー機能により、マーケティング、ラベリング、品質、法務チームがCentric PLM上でシームレスに連携してコピーやアートワーク、ラベルを作成し、最終承認を行うことで、法規制への準拠を実現します。
調達とサプライヤー
新しい化粧品に適した原材料やサプライヤーパートナーを探すのは、デジタルソリューションなしでは時間がかかり、リソースを必要とする煩雑な作業です。Centric PLMは、価格、品質、入手可能性のすべてが関わってくる調達リクエストとサプライヤーコラボレーションを効率化し、商品開発のタイムラインを短縮します。Centric PLMは、小売企業、原材料サプライヤー、研究所、代理店、社内外のユーザーとの共同開発プロセスを強化し、コンフィグレーション設定が容易であり、コラボレーションを一層強化するプラットフォームを提供します。
Centric PLMでは、商品概要をテンプレートによって容易に作成することができ、詳細な商品仕様や、購入価格、最小発注量、リードタイムなどサプライヤーへの情報提供依頼書(RFI)が含まれています。ボタンをクリックするだけで、適合するすべてのサプライヤーにRFIが送られ、コンプライアンス認証や監査などの重要な文書の詳細も一緒に送られます。
Centric PLMは、サプライヤー回答と要件と相互参照します。サプライヤーが確定すると、Centric PLMのワークフローによって、サプライヤー、バイヤー、品質管理者は、プロトタイプ作成、品質管理、修正、最終商品化といった次の段階へと進みます。Centric PLMには、複数の顧客からの各商品に関連するドキュメントやコミュニケーションが集約されており、納期を確かなものにします。
コンプライアンス、可視化、リスク
新しい化粧品とパーソナルケア用品が品質や規制の要件を満たせない場合、貴重な時間とコストが失われます。Centric PLMでは、ラボがワークフローに参画し、必須のテストを実施し、すべてシステム上で明示されるため、ヒューマンエラーのリスクを排除することができます。
このようなエコシステムでは、品質管理者とラボが、通知、要求、更新、地域固有のラベリングを通じてシームレスに連携しています。これらはすべてCentric PLMで作成され、プロセスのどのステップも見落とされません。
品質管理担当者は、Centric PLMを通じて、ラボからの分析結果やサプライヤーからの成分表、テストレポートなどの重要な情報をもとに、商品の承認をすばやく決定することができます。PLMで品質管理プロセスを効率化し、商品開発のタイムラインを短縮し、新商品が店頭に並んだ後に膨大なリソースが消耗されるような品質問題が発生するリスクを削減することができます。
製品ポートフォリオ管理
製品ポートフォリオ管理は、ダイナミックで複雑なデータに基づくロセスですが、Centric PLMはこのプロセスを簡素化し、効率化することができます。最適な価格、商品の適合性、ロケーションに関する重要な質問には、Centric PLMで容易に回答することができます。 商品チームは重要なビジネス情報をもとに、商品を最適化するべきか、アップデートするべきか、変更するべきか、中止するべきかなどを明確にすることができます。
この強力な製品ポートフォリオ管理ツールにより、化粧品およびパーソナルケアブランドは、最適な SKU 開発と商品利益率の最大化のための積極的な意思決定を迅速に行うことができます。
結論
化粧品・パーソナルケア用品企業は、消費者の欲求に応え、ベストセラーでトレンドに乗った商品を提供するという大きなマーケット圧力にさらされています。そのため、商品ライフサイクルの複雑なステージを、純利益につながる方法で管理する必要があります。
Centric PLMは、化粧品の商品開発プロセスをあらゆる段階で最適化するためのソリューションです。商品開発の最適化とは、商品化のリードタイムの短縮、ポートフォリオの最大化、原価の低減、そして収益と成長を促進する健全で戦略的なビジネス上の意思決定に必要な情報を手に入れることです。