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「当社の商品は多岐にわたり、管理業務は非常に複雑です。カーボンファイバーヘルメット、スノーモービル用ブーツ、ゴアテックス素材のアウターウェア、オートバイ用エアバッグなど、さまざまな商品を扱っています。Excelファイルや電子メールだけでは、とても対応しきれません」
プロダクト部門バイスプレジデントのRyan Harris氏は、PLMを活用せずに商品を管理することについて語っています。KLIMは早い段階から、必要な情報へいつでもアクセスできるように、すべての商品データを一元管理する重要性を認識していました。数年前の商品数は現在より少量でした。
当時についてHarris氏は「メールや共有Excelファイルが大量に存在し、実際の商品開発プロセスはさらに煩雑になりました。共有する情報が正しいかどうかを確認するために、多くの時間が費やされました」と話します。今では、統合管理されたデータベースから誰もが同じ正確な情報を引き出しています。
その後、KLIMはビジネスの成長と変化に対して、どのようにスケールアップし、適応してきたのでしょうか。
KLIMはアイダホ州リグビーに本社を構え、スノーモービルやバイクのライダーの全身に着用できる先進のパワースポーツウェアを設計、製造するグローバルリーダーです。1994年にTeton Outfittersとして設立され、1999年にKLIMとして知られるようになりました。当初はバックカントリースキーヤーやスノーリゾートで働く人々のためにカスタマイズしたスノースーツを製造し、その後、スノーモービル用ウェアの製造に移行しています。
2004年、KLIMはライディングギアの蓄積された専門知識を生かし、あらゆる季節に対応できるモーターサイクルギアを追加しました。
KLIMのミッションは、困難な状況下でもライダーを保護できる高品質のギアを通してライダーエクスペリエンスを向上することです。各商品は、集中的な研究開発フェーズと厳格なテストを経て、最大限にライダーを保護する高い基準を満たしています。同社は急速なペースで成長し続けています。
KLIMは、「統合された一つの情報基盤」を求めて、PLM-2009をいち早く採用しました。彼らのアプローチは実践的で、徐々に始めて、ビジネスのさまざまな部分を取り込んでいくという方針でした。Harris氏は「すべての商品設計と開発は、Centric PLM™で行っています。
例えば、サンプル染色などプロセスのさまざまな部分を自動化することで、所用時間を約2週間短縮することに成功しました」と述べています。これは、試作品納期を25%短縮するなど、他の例にも当てはまります。
卸売としてのKLIMは、2020年春に小売店が閉鎖された際、他の企業と同様に、一時期は専らECに頼り奔走することになりました。
KLIMは、パンデミックの前に、PLM内のデータを活用しオンラインサイトを立ち上げるという先見の明がありました。そして人々はアウトドアスポーツに熱中し始めました。Harris氏は次のように述べています。「当社では割合が少なかった直販ビジネスが、確実に成長しています。そして、2020年のDTCは前年比約30%増となりました
春は卸売が少し厳しい状況でしたが、夏には挽回し、最終的には同様に前年を上回りました。また、当社では通常、直販の売上が改善すれば、卸売の売上も向上します。どちらか一方だけではなく、ブランド全体が成長するのです」
とはいえ、通常の仕事ぶりとは異なる調整が必要でした。ほとんどのベンダーが海外に拠点を置いていました。Harris氏は「開発プロセスで少し変わったことがあります。それは当社をより強くしましたが、プロジェクトの初期段階で未確定の物事を、飛行機に飛び乗って修正しに行けなくなったことです。
そのため、デザインと開発部門には、より慎重な判断とより厳格なスケジュール遵守を強いることになりました。その結果、当社内の働き方が変わりました。
最大の課題は、毎日オフィスで顔を合わせてアイデアを出し合い、顔を合わせてコミュニケーションをとることができない点でした」と説明します。Centric PLMはこの取り組みを支援し、最新の商品データを全員に提供することで部門間のコラボレーションを促進し、どこにいても開発プロセスの透明性の維持が可能となりました。
KLIMのギアには、一部のアパレルブランドとは異なり、ファッション性以上のものが求められます。バイクやスノーモービルのライダーが期待するプロテクションの提供です。また、ライダーが暑くなりすぎるのを防ぐ通気性の良いジャケットなど、さまざまな配慮が工夫されています。
Harris氏はフラッグシップジャケットについて次のように話します。「バッドランズ・プロは、ゴアテックス・プロ・ラミネートの防水ジャケットで、YKKのジッパー、スコッチライト3Mの反射材を備えています。セラミック入りのスーパーファブリックを使用しているので、万が一倒れたとしても、ジャケットはそのままに道路を滑ることができます。キドニーベルトと、衝撃で固まる四肢のアーマーを装備しています。
毎年冬になると、マシンが故障して、誰にも発見されないまま凍てつく渓谷で2晩過ごさなければならず、当社のギアに命を救われたと言う顧客からの連絡が何度かあります」Harris氏は、バッドランズジャケットの仕様書は30ページにも及び、BOMには200以上のアイテムがあり、5つのカラーウェイがあると説明します。そして次のように述べています。「適切な生産を進めるために、各スタイルで1000もの異なる項目を管理するのは、Centric PLMなしでは不可能です」
PLMによって、KLIMは工場への情報提示の方法に一貫性を持たせることが可能になりました。Harris氏は「何ページにもわたる情報を持つ複雑な商品と、もっと少ない情報しか持たないシンプルなポロシャツがありますが、情報そのものの作りがすべて一貫しています。
デザイナーAでも、デザイナーBでも、形式は同じで、一気通貫のコミュニケーションが可能となり、工場やサプライヤーも同様の方法でコミュニケーションしています。Centric PLMがこのような方法を可能にしました」と語ります。
KLIMの品質管理部門の多くは海外に拠点を置いており、通常は年に2、3回、本社とミーティングを行っています。Harris氏は「QC部門とモジュール機能を展開しています。彼らは情報にアクセスし、品質チェックリストを作成、問題を特定します。PLMを通じて全体の管理が可能です。QC監査担当者がiPadを持って工場内を巡回し、写真を撮り、その場でコメントを出すことができるようになるのが楽しみです」と語ります。
さらに、「海外のQC担当者が検査内容を思い出すのを待ったり、事後にメールを書く時間を確保したりする代わりに、米国にいるQC担当者は最新の情報にすぐにアクセスすることが可能です。新しいモジュール機能では、検査中に生きたデータが入力されるため、効率が大幅に向上します」と続けます。
商品管理、全商品化計画、マージン分析や収益拡大のためのすべての財務レポートは、PLMを通じて行われます。Harris氏はCentric PLMをフル活用している全社機能を挙げています、
「開発部門は、おそらく一日の大半をシステムとともに過ごしています。生産、調達、物流、購買、マーケティング、そして経理。つまりほぼ全員です」
Centric PLMはとても使い勝手に優れており、新しい社員の業務開始時期にも役立ちます。リモートでの新たな業務開始にも数時間で対応可能で、新入社員が必要なものをすぐに活用できる仕組みです。
イノベーションを重視するKLIMでは、社員が常に商品の改良を考えています。Harris氏は「当社にイノベーションの専門チームはありません。イノベーションはどこからでも生まれると信じています」と話します。
しかし、PLMによって、さらに一歩進むことが可能になりました。2年前から、KLIMでは毎週PLMでプロジェクトステータス会議を開催しています。それが非常にうまく運営されたことを活かし、同様のプロセスをイノベーションミーティングの運営にも反映させることにしたのです。Centricのツールを使って、どのシーズンにどのようなイノベーションを予定できるかを明確にすることで、忙しい開発時期に時間を確保し、イノベーションそのものを厳密に進めることが可能になります。
KLIMの未来は明るいでしょう。Harris氏は、「人々がまだ外に出て、アウトドア活動を体験したいと思っていることがわかります。良い決算の年になるはずです。従業員は高いモチベーションを持っています。強く、永く続く企業というのは、困難な時代にこそ、将来に向けて築き上げられるものだと思います」と締めくくります。